カニというのは、甲殻類の中でも人間にとって比較的馴染みのある生物となっています。ですが主に食用として馴染み深いだけで、ペットとしてカニを飼育しているという人はそこまで多くありません。
実際に同じ甲殻類で海水水槽で飼育する生き物として、エビやヤドカリに比べて人気はいまいちです。
その理由としてカニの場合、水槽内で他の生物と共生し難い種類が存在している事にあるのです。ですがその一方で、きちんとカニの種類を選ぶ事で、海水水槽内で飼育するメリットが生まれる事もある点を理解しておく必要があります。
海水水槽内で飼育する事がおすすめ出来るカニの種類として、紹介するのがエメラルドグリーンクラブだったりします。エメラルドグリーンクラブはカリブ海産のカニの仲間で、大きさは最大で5センチ程です。
水槽内のコケや藻類、残り餌や死んだ魚類等を食べる掃除屋として知られており、ショップでも購入出来るケースが少なくありません。
エメラルドグリーンクラブは、海水水槽で飼育できる草食性のカニの一種で、マガキガイ・シッタカガイに続いてコケ取り生物として定番になっています。
しかし、見た目は立派なハサミを持っているので、魚を襲わないか気になるところですが、草食性なので魚を襲うという事はほとんどありません。稀に小型の魚はコケが無くなり空腹になると捕食する事があります。
エメラルドグリーンクラブのハサミは、岩などに付着した海藻を取るための物であり、先端は尖っておらず、毛抜きのような形をしています。一方で、魚を襲う肉食系のカニは、ハサミの先端が槍のように尖っています。
サンゴとの相性はいい
また、エメラルドグリーンクラブがサンゴを食していることがたまに見られることがあります。ですが、よく見ると彼らが食しているのは、壊死しているサンゴの部分だけです。
壊死している部分を食してくれることで、壊死が拡散するのを抑制する効果があるので、むしろサンゴと相性がよいとさえいえます。
エメラルドグリーンクラブは、草や藻であればたいていの物は食します。茶ゴケ・緑ゴケ・緑の藻など。特に、柔らかい緑の藻が好物なようで、優先的に食してくれて、日に日に藻がなくなっていき、その効果は非常に高いといえます。
またギザギザしたタワシのような硬い藻である「シオグサ」も食べてくれます。シオグサは、マガキガイやシッタカガイなどでも食べられないので、除去が困難な藻ですが、エメラルドグリーンクラブはそのような藻もハサミでちぎり、食べてくれるのです。
緑の藻のように好物というわけではないので除去の速度は緩やかですが、効果は確実です。
石灰藻に注意
このように、たいていの藻やコケは食べてくれるエメラルドグリーンクラブですが、何とライブロックなどの石灰藻も食べてしまいます。好んで食するわけではなく、ライブロックに付着したコケを食べる時、ハサミが石灰藻に触れて削れてしまいます。
何でも食べてくれるエメラルドグリーンクラブですが、赤いギザギザした海藻だけは食べようとしません。もし、このような藻に悩まされているのであれば、サザエの仲間を飼うとよいでしょう。
エメラルドグリーンクラブを入れる時に気をつけることがあります。エメラルドグリーンクラブは甲殻類なので、それなりに重さがあり、加えてよく動くのでサンゴの置き方が不安定だと、倒されるおそれがあります。
不安定な置き方をしている場合は、水中ボンドなどを使って固めておいたほうがよいでしょう。